Q【車の修理費用は全額負担してもらえないことがある?】
私は,10年ほど前に車を購入し,大切に乗っていたのですが,先日,交通事故に遭い,車が壊れてしまいました。私は,大切に乗っていて,想い出も多い車なので,修理したいと考えています。ところが,修理の見積もりを取ったところ,加害者の保険会社が,修理費用を全部負担することはできませんと言われました。そんなことってあるのでしょうか。どうしたら良いのでしょうか。
A:弁護士からの回答
①修理費用が、②車両の時価額と買換えのための登録手続関係費の合計を上回る場合、損害として認められる額は②の限度となります。
ですので、例えば、修理費用が40万円、車両の時価額が20万円、買換えのための登録手続関係費が10万円である場合、30万円の限度でしか損害が認められない場合があります。
車両の時価額をどのように決めるかというと、『オートガイド自動車価格月報/中古車価格月報』(いわゆるレッドブック)や、一般財団法人日本自動車査定協会が発行する『中古車価格ガイドブック』(いわゆるイエローブック、シルバーブック)等を参考にします。これらに記載がない車両については、インターネット情報を参考にする場合や、減価償却をする場合、裁判になった場合は民訴法248条による解決等があり得ます。
もっとも、特段の事情、すなわち「(イ)被害車両と同種同等の自動車を中古車市場において取得することが至難であり、あるいは、(ロ)被控訴人が被害車両の代物を取得するに足る価格相当額を超える高額の修理費を投じても被害車両を修理し、これを引き続き使用したいと希望することを社会観念上是認するに足る相当の事由が存する」などの事情がある場合には、例外を認める余地があるとされています(東京高判昭和57・6・17判タ478-129)。
あなたのケースでも、裁判例のような特段の事情を立証した場合には、一定の修理費の請求が認められる可能性があります。