Q【過失割合ってどうやって決めるの?】
私は、片側一車線の道路を自動車で走行していましたが、コンビニエンスストアに入るために右折しようとした際、直進してきた自動車と衝突事故を起こしてしまいました。事故の相手方は私の方が100%悪いと言っていますが、私にも悪いところがあったとは思うもののすべて私の責任というのは私としても納得できません。このような場合、どうやって過失割合は決まるのでしょうか。
A:弁護士からの回答
過失割合については法律で細かく決められているわけではなく、実際の交通事故の実務では、話し合いによって決められることが多いのが実際です。
その際、保険会社や弁護士の多くが、過失割合に関する基本文献を参照しますが、その代表的な文献が、判例タイムズ社の「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍です。この書籍では、乗り物の種類(自動車、バイク、自転車、歩行者)や事故状況ごとに過失割合が細かく示されており、さらに、ウィンカーを出していなかったとか、猛スピードで走行していたなどのような個別事情を踏まえた過失割合が導き出せるようになっています。
この書籍の基準は、裁判においても参照されることが多いため、示談交渉においても強い影響力を持ちます。したがって、この書籍に基づき、同じような事案であれば、同じような過失割合での解決が図られることが多いのです。
とはいえ、事実関係に争いがあったり(たとえば、ウィンカーを出していたかどうか)、事実関係に争いはなくても評価に争いがある場合(ウィンカーを出していなかったことに争いはないが、その割合(10か20か)をどのように考えるか)など、機械的に当てはめることができない場合も多くありますので、書籍を参照すればすぐに解決するというものでもありません(なお、Q【過失割合で言い分が食い違うのですが・・・】もご参照ください。)。
このように、実務では、文献の基準などを参照しながら、個別の事情を踏まえて過失割合を考えていきます。
そして、両当事者の話し合いで合意できれば、それで過失割合が決まりますし、どうしても話し合いで決まらなければ、最終的には裁判で判断してもらうしかないということになります。
とはいえ、実際の事案において、過失割合を話し合いで合意するのが妥当なのか、裁判を起こすことが得策なのかといった判断は、専門的な知識や経験が必要な場合が多いところです。過失割合でお悩みの方は、弁護士に相談していただくことをお勧めいたします。